ことしはうさぎ年。年明けに「卯(う)」にまつわる雑学を一つ。「子(ね)」から始まる十二支を時計回りに並べると、向かって右側の3時の位置に来るのが「卯」になる。左側の9時の位置は「酉(とり)」である
▼そこから、船を操る際に左にかじを切ることを「酉かじ」、右にかじを切ることを「卯のかじ」と呼んだ。「酉かじ」は「取りかじ」に、「卯のかじ」は少しずつ変化し「面かじ」と呼ぶようになった。こんな説があるそうだ
▼卯年はどんなかじ取りが求められるのだろう。国際社会の平和を担う国連安全保障理事会で、日本はきょう付で非常任理事国になる。2016~17年以来の12回目で、外務省によると国連史上最多だ。任期は2年間で今月は議長国を務める
▼昨年は安保理の機能不全ぶりが深刻だった。常任理事国であるロシアがウクライナに軍事侵攻したり、北朝鮮が異例の頻度でミサイルを発射したりしたが、安保理は一致した対応を取れなかった。平和の実現に向けた存在感を発揮する場面は、ほとんどなかった
▼大国の思惑に左右される安保理のかじ取りは容易でない。それでも世界の大多数は一刻も早い平和の到来を待ち望んでいるはずだ。国際社会の大波の中で、平和国家としての日本の役割が問われることになる
▼右を選ぶか、左を取るか。前に進むか、退くか。私たちが生きる上でも、かじ取りが必要になる場面は多い。うさぎ年だからといって必ずしも飛び跳ねなくてもいい。周囲の音に耳をそばだて着実に歩みたい。