ロシアによるウクライナ侵攻が年を越えて続いている。来月24日で1年となるのに、一向に停戦の兆しは見えない。

 日本周辺では、中国が台湾統一を見据えて軍事的圧力を強めている。異例の頻度でミサイル発射を繰り返してきた北朝鮮は、新年も発射を続け、緊張を一層高めている。

 力による現状変更や秩序を乱す振る舞いは、断じて容認できない。各国は結束して平和を取り戻し、再構築に尽力していかなければならない。

 ロシアのプーチン大統領は独善的な理屈で主権国家の領土を踏み荒らし、多くのウクライナ国民の命を奪ってきた。核兵器を使うことも辞さない構えを見せている。

 戦闘が長期化する中、ロシア軍はウクライナ軍の粘り強い反撃で劣勢に追い込まれ、多数のロシア兵が死亡している。

 ◆過ち認め軍撤退せよ

 プーチン氏は過ちを認めて停戦に応じ、軍を撤退させる決断をするべきだ。このことを改めて強く求める。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は昨年暮れ、電撃的に訪米した。バイデン米大統領は地対空ミサイル「パトリオット」を含む軍事支援を約束した。

 ただ、射程の長い武器は供与しない。ロシア本土への直接攻撃に使われれば、戦争の激化が予想されるからだ。

 ゼレンスキー氏は3日、英国など4カ国の首脳と相次ぎ電話会談し、各国と協力して防衛強化を急ぐ考えを示した。

 いまだに戦争の出口戦略を見いだせないのは残念だが、国際社会は一致してウクライナ支援を継続していきたい。

 日本は今年、先進7カ国(G7)の議長国になり、国連安全保障理事会の非常任理事国も務める。岸田文雄首相の外交手腕が問われる1年だ。

 国連は、ウクライナ情勢や北朝鮮問題を巡り常任理事国の中国とロシアが足並みを乱し、安保理は機能不全に陥っている。

 日本は、中ロとの関係が深い東南アジアやアフリカ諸国などに積極的に働きかけ、ロシア包囲網の構築に貢献したい。

 日本を含む東アジアも軍事的緊張が高まっている。

 中国の習近平指導部は軍事力を背景に、台湾統一の圧力を強めている。

 中国船は沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に度々侵入し、偶発的衝突の危険性が増している。

 これに対し岸田政権は防衛力の抜本的強化を打ち出し、安全保障政策の転換となる反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有に突き進む。

 日中両国は昨年、国交正常化50年の節目を迎えた。半世紀前、本県出身の田中角栄首相と中国の周恩来首相は「相互に善隣友好関係を発展させる」との誓いを共同声明に盛り込んだ。

 両国政府はこの原点を改めて共有してほしい。昨年11月、タイで約3年ぶりに行われた日中首脳の対面会談に続き、対話を重ねていく必要がある。

 ◆問われる主導的役割

 戦後最悪と言われるほど冷え込んだ韓国との関係改善も喫緊の課題だ。

 懸案の元徴用工訴訟問題を巡り、日韓は昨年暮れ、双方の取り組み状況について意見交換した。韓国側は日本企業の謝罪や資金拠出を求める一方、日本側は賠償問題は解決済みとの立場で、隔たりは依然大きい。

 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は関係修復に積極的な姿勢を示している。岸田政権も隔たりを埋める努力を惜しんではならない。

 悩ましいのは、暴挙が際立つ北朝鮮への対応だ。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記は核弾頭の増産を今年の核戦略の重点とした。

 日本政府が最優先課題としている日本人拉致問題についても一向に進展がみられない。

 新潟市で拉致された横田めぐみさん=失踪当時(13)=ら未帰国の政府認定被害者12人の家族のうち、「親世代」で存命なのはめぐみさんの母親の早紀江さんら2人だけだ。

 岸田政権は今年こそ解決への糸口を見いだし、全員の帰国を実現させてほしい。そのためにも北朝鮮との関係が深い中国や、米韓との連携が不可欠だ。

 5月には岸田首相の地元広島でG7首脳会議(サミット)が開かれる。核廃絶に向けた具体的な議論が欠かせない。

 大量の核兵器を保有する米国など各国に対し、唯一の戦争被爆国としてどう役割を果たすのかが問われる。