日本経済への影響が憂慮される。事態の打開へ、政府は対話の糸口を探り続けねばならない。
今後も同様の状況は起こり得る。その都度、外圧に左右されることがないよう、経済の足腰を鍛えることが求められる。
中国商務省は、軍用とともに民間の産業にも活用できる「軍民両用品」に関して、日本への輸出管理を強化すると発表した。
具体的な品目の言及はないが、以前から公表している軍民両用品のリストに基づいて規制するとみられている。
記載の品目は、戦闘機や幅広い工業製品に使用されるレアアース(希土類)をはじめ、900以上に上る。規制品目は軍事用途に限るとするが、線引きは中国の裁量で決まるため、日本企業から不安や困惑の声が上がる。
日本は中国側に強く抗議し、規制強化の撤回を要求した。当然の対応である。企業への情報提供も急いでもらいたい。
中国側は規制強化の背景に、台湾有事は存立危機事態になり得るとした高市早苗首相の国会答弁に加え、安保関連3文書改定の動きや、官邸筋による核保有発言があるとし、「完全に正当かつ合法的」な措置だと強調する。
自由貿易を脅かすもので、経済的威圧と言えるだろう。
台湾問題を「核心的利益」と位置付ける中国は、答弁の撤回が日本との対話再開の条件とする。日本側はこれを受け入れておらず、対立は長期化する恐れがある。
今回の規制は、中国が既に打ち出している日本への渡航自粛勧告や日本産水産物の輸入停止と比べても重い措置で、長引けば日本経済が疲弊しかねない。日本酒などの通関遅延も起きている。
政府は中国とのあらゆるパイプを使い、昨年の日中首脳会談で確認した「戦略的互恵関係」に立ち戻るよう働きかけるべきだ。
同時に、重要な資源や製品を、特定の国に過度に依存する現状を早急に改める必要がある。
エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によると、2024年の日本のレアアース輸入先は、中国が71・9%を占める。中国依存が著しい。
レアアースは先端技術に不可欠だが、中国が世界の生産の6割超、精錬の9割超を握っており、外交手段などに使う恐れが以前から指摘されてきた。
日本を含む12カ国が加盟する環太平洋連携協定(TPP)は、重要鉱物の輸出規制といった経済的威圧に対抗する新たな枠組み創設の検討を始める。
この枠組みで情報共有を図り、サプライチェーン(供給網)の強化などを話し合うと見込まれる。
日本は創設の協議を主導したい考えだ。自由貿易体制を強固にし、各国の健全な経済成長につながる議論としてもらいたい。
