「ご成人おめでとうございます。皆さんが卒園されてから、もう14年になりますね」。こんな書き出しの手紙が新年、31人の卒園生宛てに送られた。送り主は五泉市の幼保一元化園「みどりこども園」で園長をしていた野﨑正美さん(61)だ
▼手紙には卒園生が当時描いた絵も同封した。「笑顔いっぱいだった頃の自分に再会して、悩みも迷いも吹き飛ばして、新たなスタートをきってくださいね」と呼び掛ける。夢を抱き、人を思いやる心を大切に過ごしてほしいとの願いもつづった
▼あすは「成人の日」。手紙を受け取った卒園生は、きょう五泉市で開かれる「二十歳の集い」で久しぶりに再会するのだろう。当時を懐かしむ姿が思い浮かぶ。こども園は12年前に閉園し別の認定こども園に移行したが、移行前の卒園生には手紙を送り続けている。以前は卒園した新成人を園に招いて祝う茶話会も開いていたという
▼ずっと見守ってくれる先生が地元にいるのは心強いはず。最近は子どもを虐待する保育士や教員の記事を目にすることが多いだけに、手紙に込められた思いに心が温まる
▼感染症禍は4年目に入り、20歳を迎えた若者の多くは貴重な青春時代を思うように過ごせなかった。気候変動や東欧での戦火もあり、将来への不安も増しているだろう。困難を前に尻込みすることもあるかもしれない
▼でも自分を見失わないでほしい。誰かがきっと応援しているはずだ。野﨑さんの言葉を借りて贈りたい。「よい人生を歩まれますように」