佐渡金銀山のシンボル「道遊の割戸」
佐渡金銀山のシンボル「道遊の割戸」

 新潟県と佐渡市が世界文化遺産登録を目指す「佐渡島(さど)の金山」を巡り、文化審議会世界文化遺産部会が、登録の前提となる国内推薦候補に選定する答申をまとめることが27日、関係者への取材で分かった。ただ、戦時中に佐渡金銀山で朝鮮人労働者が坑内作業に従事していたことに対して韓国国内で反発が広がっており、政府が国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦するかは不透明な情勢だ。

 答申は28日にも正式発表される見込み。2023年に登録審査を受ける候補として、ユネスコに推薦書を提出する期限は来年2月1日。政府が文化審の答申通りに推薦しなければ異例の事態となり、今後の政府の判断が注目される。

 佐渡金銀山での戦時中の朝鮮人労働者については、県と佐渡市が文化庁に提出した推薦書原案にも記述がある。関係者によると、こうした歴史を踏まえ、政府として推薦することに外務省などから慎重論が根強いという。

 朝鮮人労働者の徴用を巡っては、15年に世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」でも日韓両政府が対立。今年の世界遺産委員会では、長崎市の端島(通称・軍艦島)での徴用に関する日本政府の説明が不十分だとする決議案が採択されている。

 佐渡金銀山は15年度、県と佐渡市が初めて推薦書原案を文化庁に提出した。しかし、4年連続で落選。18年度に「北海道・北東北の縄文遺跡群」と競合して選ばれなかった際には、次の有力候補になり得ると評価された。

 20年度に提出した推薦書原案は「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」としてきた名称を「佐渡島の金山」と変更、内容も独自の価値を強調した。しかし、新型コロナウイルスの影響で審議が行われなかった。21年度に国内推薦を目指すのは佐渡だけで選定が有力視されていた。

 「佐渡島の金山」は「相川鶴子金銀山」と「西三川砂金山」の二つの鉱山遺跡で構成。17世紀に世界最大級の金の産出量を誇ったとされる。