「秋鮭(ざけ)と4種きのこの紙包み焼き」「ボウズイカの山椒(さんしょう)煮」…。食欲をそそる名前が並ぶ。サイズが小さかったり、なじみがなかったりして市場にあまり出回らない未利用魚の料理だ

▼長岡市の寺泊港で水揚げされた未利用魚を味わってもらおうと市内の飲食店で特別メニューが提供されている。取り組みを紹介した本紙記事に添えられたQRコードをスマホで読み込み、料理の説明を見てみた。鮭は身の脂が控えめな「ブナ鮭」で、イクラを取った後は捨てられることが多い。ボウズイカは小さくて使いづらいそうだ

▼「捨てればごみ、生かせば資源」という。未利用魚も多くは廃棄されてきたらしい。もったいないと思うのは当然だ。これまで捨てられてきたものを活用し、新たな価値を持たせる試みが盛んになっている

▼県は、下水処理場から出る可燃性ガスを民間業者に売却する事業に乗り出す。処理場用の発電に使っていたが、2割ほどは使い切れずに燃やしていたという。生物由来のバイオマス資源なので、温暖化対策にも寄与できる

▼県内ではほかにも、燃料として使った生ごみを乾燥して肥料にする試みなどが進む。生ごみを発酵させて生じたメタンガスで発電する仕組みは実用化されており、発電に使った生ごみをさらに活用する取り組みだ

▼今はさほど使っていなくても、有効活用できる何かは数多くあるのだろう。モノや設備だけでなく、人や情報もそうかもしれない。「もったいない」の精神で、知恵を絞ってみたい。

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