NHKで放送中の連続テレビ小説「舞いあがれ!」のヒロインは、パイロットに憧れ、厳しい訓練に耐えて航空会社の内定を手にした。しかし時はリーマンショックのさなか。採用直前で待機がかかった
▼航空業界は、国際情勢や経済状況に翻弄(ほんろう)されがちだ。ここのところはウイルス禍の直撃を受けている。リーマンの時よりさらに厳しく、かつてない苦境だと聞く
▼新潟空港では国際線の運航がようやく再開した一方で、運休が決まった国内線もある。先行きはまだ見通せないのか。少しずつでも、現場で働く人の視界が晴れてくることを願いたい
▼困難を経て、新しい働き方も始まるようだ。全日本空輸は客室乗務員を対象に、週2日勤務を認める制度を導入する。従来は育児や介護がある人に限っていた勤務条件が、特別な事情がなくても可能になる。副業や地方での勤務をしやすくする狙いがあるそうだ
▼日本や世界の空を飛び回ってきた人たちだ。観光に芸術文化、食や美容など幅広い知識をお持ちだろう。新潟に暮らしながら、週の半分は副業を手がける人が出てくるかもしれない
▼県内の中山間地には、月3万円程度の収益を目指すスモールビジネス…略して「さんビズ」と呼ぶ取り組みがある。工芸品を販売したり、自然体験ツアーを企画したり。商いの手法を借りた地域活性化だ。こんな試みもヒントになる。航空業界をはじめ、多様な働き方を模索する人が気張らずに副業にいそしめれば。地域を元気にしてくれるのかも。