納得できない校則の見直しを図る活動が全国の学校で広がっている。意見の違う人と話し合い、納得できるルールを探る道のりは、身をもって民主主義を学ぶ機会になる。本紙生活面が紹介していた
▼活動の支援者は、子どもが最も我慢できない感情は「ずるい」だと指摘する。子どもに不合理な規則を押しつけながら、自らは自由に振る舞う大人はずるい。子ども同士でも、おやつを独り占めしたり、大人の前でだけいい子を演じたりといった姿は許せない
▼理不尽な状況に反発する心が、話し合いでみんなが納得できる環境をつくろうとする民主主義の出発点なのかもしれない。では民主主義の現場である国会の今はどうだろう。そこに「ずるい」はないか
▼児童手当の所得制限撤廃に否定的だった自民党が態度を一変させた。かつては一律支給をばらまきだとして「愚か者めが」とやじを飛ばした議員もいたほどなのに。少子化が進んだとはいえ、統一地方選を控えた時期の方針転換をずるいと感じる人もいるのでは
▼「丁寧な説明」を掲げる首相にしても、少子化対策や防衛力の拡充についての答弁では具体的な内容に踏み込まなかったり、従来の答弁を繰り返すだけだったり。看板倒れの丁寧さに、ずるいと言いたくなる
▼ずる休みの様相の議員もいる。NHK党のガーシー参院議員は、昨夏の当選から一度も国会に登院せずに歳費を受け取っている。これはもう「ずるい」のレベルを超えている。処分が検討されるのもうなずける。