昨年、冷蔵庫に入れたまま期限切れにしてしまった食材の何と多かったことか。今年こそ「おいしそう」「安い」といって買いすぎないように。間違いなく食べる食材を買い、無駄をなるべく出すまい。食品ロスを減らすには足元から

▼20代に赴任した長岡市で、ごみ収集の仕事を真冬に体験ルポする機会があった。大雪の年。ベテラン職員に付いて収集所を回ると、雪に覆われたごみの山でカラスが番をしていた。袋を掘り出しては収集車に次々放る。雪の季節になると、作業する人たちの苦労を思い出す

▼不要になった洋服や日用品、本などをフリーマーケットアプリに出品している人も多いようだ。梱包や送る手間はかかるが、眠らせたままにせず、使ってくれる人に引き継げる良さがある。得たお金で、新たに必要になった品を譲ってもらえば、現代版の「物々交換」みたいだ。帯やジーンズをリメークしたポーチ、着物をほどいて作られたワンピースなども出品されている

▼ものづくりの現場でも模索が始まっている。繊維製品を作る時につきものなのが裁断ごみだ。これを全く出さないバッグを作る会社が新潟市内にあるという。1枚の生地を折り曲げて形を作り、余った部分は折り返してデザインに取り入れた。常識を覆す作り方に挑み、商機拡大と環境への配慮を両立させる

▼地球温暖化を背景に、気象の異変が災害レベルで押し寄せている。少しでも食い止めるため、それぞれの立場で工夫できることを。輪が広がるといい。

朗読日報抄とは?