犬の祖先はオオカミというのはよく知られる。その中でも、20世紀初めに絶滅したニホンオオカミが最も近縁だという。総合研究大学院大や岐阜大などのチームが研究成果をまとめた

▼研究チームは東アジアのハイイロオオカミから犬とニホンオオカミの祖先が誕生し、犬は世界各地に広がったと推測する。ニホンオオカミはかつて、東北から四国、九州に広く生息していた。そうすると、私たちの祖先は世界で最も早く犬と暮らし始めたのかもしれない

▼犬と長年つき合ってきたこの国だが、劣悪な環境で飼育したり、無理やり繁殖させたりする悲劇が後を絶たない。ウイルス禍で「おうち時間」が増え、ペットを迎えたものの飼い切れなくて手放してしまうケースも多いと聞く

▼フランスでは衝動買いを防ぐため、2024年からペットショップでの犬と猫の販売が禁じられることになった。飼う場合は保護団体や個人からの譲渡、ブリーダーからの直接購入に限られる。本県でも生体を販売しないショップが出てきた

▼長年問題視されてきた殺処分も減る傾向にある。県内で20年度に殺処分された犬猫の数は計406匹で、確認できる中では過去最少となった。とはいえ、いまだにこれだけの数の命が失われているともいえる

▼不妊・去勢手術のほか、生後間もない犬猫を家庭で一時的に預かり、譲渡できる段階まで育てる「ミルクボランティア」という取り組みも進む。犬と人間は持ちつ持たれつで歩いてきた。よい関係をこれからも。

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