民族衣装姿で真っすぐに前を見つめる女性たち。戦時中、佐渡金山で働いた朝鮮人労働者の家族として佐渡で暮らした女性たちの記念写真だ。写真の右下の刻印から、新潟県佐渡市相川石扣(いしはたき)町にあった山口写真館で撮影されたとみられる。

 戦時中、朝鮮人労働者の家族が佐渡へ移り住んだ。関係者によると、1940年には300人が佐渡へ渡ったという。

戦時中に佐渡の写真館が撮影したとみられる朝鮮人労働者の妻・朴順伊(後列右から3番目)らの記念写真

 在日コリアンが多い川崎市南部で、共生社会づくりに取り組む社会福祉法人「青丘(せいきゅう)社」は、25年前に写真の中の一人である朴順伊(パクスニ)(故人)に当時の体験を聞き取った。

 朴は41年、佐渡金山で働いていた夫の下へ、生まれたばかりの長女と共に呼び寄せられ...

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