新年度を迎え、社員に訓示をする社長さんも多いだろう。学校では校長先生や担任の先生が子どもたちにどんな話をしようか思案している頃かもしれない
▼どうしたら話をうまく聞き手に伝えられるか。お客相手の営業マンにとっては業績に関わってくる。新人ならなおのこと不安を募らせるに違いない
▼「人」の字を手のひらに書いて、それを飲むまねをすると緊張が和らぐとよく言われる。迷信かと思っていたら、新潟市在住で元文化放送アナウンサーの高橋令子さんが「効果はあり得ますよ」と教えてくれた。「聞き方話し方」の市民講座を持つ。手のひらの真ん中にはつぼがあり、そこを刺激すると緊張が緩むのだそうだ
▼話し方の要諦を尋ねると「語りかけるように」という答えが返ってきた。大勢の人を前にしたスピーチなら、自分の話にうなずいている顔が幾つか見える。その人たちに向かって話す意識を持つと、語りかけるような口調になるという。少人数の会話なら、相手が話す速さや内容に合わせることを心掛ける
▼高橋さんが高齢の親を連れて銀行に行った際、行員が親に専門用語を使って早口で説明したことがあった。「高齢者が聞き取れるように、ゆっくりと低い声で話してほしかった」と残念がる
▼統一地方選が始まり、候補者らは街頭で支持を呼びかけている。ここでも聞き手の気持ちになって話すことが大事だという。一人一人に向かって語りかけるような政治家は誰なのか。そんな視点からも眺めてみたい。