「○○年問題」という言い回しが広く知られるようになったのは「2000年問題」からだろうか。1999年から2000年に切り替わる際、コンピューターが誤作動を起こして社会に大きな混乱が生じるのではと心配された。実際には深刻な問題は起きなかった

▼その後も団塊の世代が大量退職する「2007年問題」や、本県絡みでは北陸新幹線の開業に伴い、上越新幹線と沿線の相対的な地位低下が懸念された「2014年問題」などが話題になった

▼この先の不安材料として挙げられるのは、やはり少子高齢化に関わるものが多い。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」は目の前の課題だ。さらに、近ごろ目にする機会が増えたのは「2040年問題」である

▼1971~74年生まれを中心とした団塊ジュニア世代が高齢者になる時期だ。社会の高齢化がピークに近づく一方、社会の支え手や働き手は急激に減ることが予想されている

▼民間シンクタンクのリクルートワークス研究所は、2040年には労働者の供給不足が1100万人を超えるとの予測を発表した。必要な労働力に対して不足する割合は、本県は34・4%に達する。全都道府県で2番目に深刻な数字だ

▼この問題は単なる人手不足では終わらないと指摘される。医療や介護、物流など暮らしに欠かせないシステムが維持できない恐れがある。ため息が止まらなくなるが、目を背けてはいられないようだ。そう遠い未来の話ではないのだから。

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