本紙窓欄の題字が4月から見附市の書家、内山玉延さん(66)の作品になった。軽やかで柔らかで伸びやかな11画は、まるで春の風に吹かれているようである

▼書道の一番良いところは潔さ。それが、幼い頃から筆を握り続けてきた内山さんの持論である。「構想を十分に練って、色紙を前にしたら、一回で仕上げたい」。そう言われると、作品はピンと張り詰めた空気をまとっているようにも見えてくる

▼題字は来年3月まで、毎月1日に新しいものに入れ替わる予定だ。内山さんは「題字が目立ってはいけないが、同じものが続いては面白くない。いろいろな表現をしたい」という。素人には同じ字を12種類も書き分けることができるのだろうかと気になった

▼内山さんの仕事場を訪ね、ひもでとじられた「ネタ帳」を見せてもらった。たくさんの「窓」という字が、筆ペンで書き込まれていた。筆や墨を変えたり、篆刻(てんこく)にしたりすることも考えているという。窓欄を開く楽しみの一つになりそうだ

▼題字のすぐ下には小中高校生の投稿「きらきらキラリ」が2本並ぶ。児童生徒の皆さんの多くは手書きの原稿を送ってくれる。濃い鉛筆を使い力を込めて書いた文字は目を通していて快い。読者の皆さんに直接ご覧に入れたいようなものもある

▼内山さんは中学生の時、窓欄に投稿が掲載されたことがあり、そのうれしさは今でも忘れられないという。投稿者「キラリさん」の中から将来、窓欄の題字を書く書家が生まれてくれたらうれしい。

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