草野球シーズンたけなわだ。新潟市の早起き野球大会も今月半ばに開幕する。アマチュアの多くが親しむのは、ゴム製のボールを使う軟式野球だ

▼その発祥は大正時代にさかのぼる。革製の硬式球でのプレーは危険も伴うので、ゴム素材の軟式球が開発された。軟式球の誕生によって、子どもをはじめ多くの人が野球に親しむようになった

▼憲法記念日の祝日であるきょうも、各地のグラウンドには一心に軟式球を追う人の姿があるはずだ。硬式のプロ野球をテレビなどで観戦する人も多いだろう。硬式と軟式の二本立てが日本の野球人気を支えている

▼硬軟といえば憲法にもある。分かれ目は改正のハードルの高さである。通常の立法と同様の手続きで改正できるものは「軟性憲法」と呼ばれる。これに対し、より厳格な手続きが求められるのが「硬性憲法」である。日本を含め、多くの国は後者の方を採用している

▼日本では、改正には国会の総議員の3分の2以上が賛成して発議する必要があり、さらに国民投票で過半数を得なければならない。なかなかのハードルだ。硬性憲法を採用しているのは、時の政権の暴走などによって国の基本理念が簡単に変わることがないようにしているのだろう

▼憲法には権力を縛る性格もあることを考えると、うなずける。改正への高いハードルは、それだけ内容の濃い検討を求めていることの表れだろう。改憲の必要があるかどうかも含め、議論の方は腰を据え、硬軟を取り混ぜた熟議であるべきだ。

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