国際社会の政治や経済に影響力のある国の首脳が集まる会議を指す「サミット」は、山頂を意味する英語だというのは広く知られている。世界のトップリーダーを山のてっぺんになぞらえた
▼会議をうまく進めるために、首脳を補佐する担当者は「シェルパ」と呼ばれる。もともとは世界最高峰エベレストの麓に暮らす少数民族の名称だった。登山の案内や荷物の運搬を担ったことから、登山者の補佐役をこう呼ぶようになり、国際会議の用語にもなった
▼各国のシェルパは会議の成功に向け、入念に準備を重ねる。合意は「登頂」に例えられることも。今回の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)でも、首脳とシェルパは協力しながら山頂を目指す
▼7大陸最高峰は英語では「セブン・サミッツ」と呼ばれるから、まさにG7を思わせる。では「G7」の「G」は何を意味するのか。「ジャイアント」? まさか「グレート」ではあるまいが
▼正解は「グループ」。G7は「グループ・オブ・セブン」の略という。さすがに「巨大な」とか「偉大な」といった言葉を用いるのは、おこがましいか。ただ「サミット」という言葉には、少々尊大な響きを感じ取る人もいるようだ
▼新興国などからは、一部の金持ち国だけで世界のかじ取りをしようとしているという批判も聞こえてくる。G7は国際社会の未来に責任を負う姿勢を示せるか。一時参加が危ぶまれた、米国のバイデン大統領も到着した。広島サミットは、きょう登山の幕が開く。