「楽に稼げるアルバイト」。こんなキーワードで検索すると「10選」やランキング形式で次々仕事が紹介される。「体力的に楽」「精神的に楽」「自宅から通いやすい」などと丁寧だ。物価高騰で、学費や生活費に窮する学生や若者が増えている
▼一方「楽なバイト」の短所として、こんな助言もあった。賃金が割と低い。単純作業だとスキルアップが望めず、働く意欲の維持が大変…
▼いま話題の対話型人工知能(AI)に相談する時代も到来しつつあるかもしれない。特技や趣味、性格、夢、体格、経歴などを入力すると、適職や給料までが示されそう。SFの世界でない現実が怖くなる
▼最近「闇バイト」という言葉が事件報道などでやたらと出てくる。交流サイト(SNS)に「高額即金」など甘い言葉で求人が出ていたら要警戒だ。集まった若者は犯罪の手先にされかねない
▼職業に貴賤(きせん)はない。しかし犯罪は職業ではない。許されない行為だ。警視庁は3月、おれおれ詐欺などの特殊詐欺事件に関わり、取り調べた者の46%が闇バイト募集にアクセスしていたと公表した。「闇名簿」を使い、資産家の高齢者宅を狙った広域強盗も増えている
▼普通の若者が、殺人すらいとわない凶悪犯になぜなるのか。応募する際に身分証明書の提出を強いられる。仕事が犯罪と分かり、やめたいと言っても遅い。家族への危害をタネに脅され犯罪組織の闇から抜け出せない。もうAIに聞くまでもない。ダイヤル「#9110」。警察に相談だ。