北京冬季五輪の開会式が今夜、国家体育場で開かれる。絡み合った鉄骨が競技場を覆い尽くす外観から「鳥の巣」の愛称で呼ばれる。2008年の夏季五輪では、メイン会場だった

▼その設計顧問を務め、現在は欧州を拠点に亡命生活を送る中国人芸術家の艾未未(アイ・ウェイウェイ)さんは、母国での五輪開催に冷めた視線を送る。「スタジアムに込めた『自由』への願いは失われ、国家プロパガンダの建築物となった」

▼先日の本紙国際面に載った艾さんの言葉は極めて厳しい。競技場の外観コンセプトは「自由」や「開放性」だった。しかし、五輪に絡めてナショナリズムをあおる中国政府の姿勢に失望し、建設プロジェクトから身を引いた

▼新疆ウイグル自治区での人権侵害などを理由に、中国が五輪を開催することを疑問視する声は国際社会に根強い。米国は各国に「外交ボイコット」を呼び掛け、今大会も政治の影が色濃く差す。五輪も人間の営みである限り、政治とは無関係でいられないということなのか

▼ただ、競技会場の中はアスリートが政治の思惑から離れ、純粋に力の限りを尽くす場であると信じたい。本県からも、スノーボードハーフパイプの平野歩夢選手をはじめ、多くの精鋭が最高峰を目指す舞台に立つ

▼収束が見えない感染症や緊張感を増すウクライナ情勢など、世界を取り巻く環境は厳しい。だからこそ、アスリートには自身の力をとことん発揮してもらいたい。人間の持つ可能性を見せつけてほしいのだ。

朗読日報抄とは?