「病は気から」。病気は気の持ちようで、良くも悪くもなる。多くが知ることわざだ。でも、その「気」は「気持ち」に限らず「気象」の「気」という解釈もできそうだ。天気で体調が左右される「気象病」の研究が進む

▼「古傷が痛むと天気が悪くなる」。「神経痛や関節が痛み出すと雨」。こんな言い伝えもある。低気圧が近づくと、自律神経が乱れ、脳の血管の拡張などが起きる。それが原因で頭痛や肩こり、関節痛などの「天気痛」を引き起こすという

▼梅雨入りシーズンである。雨と晴れを繰り返すこの時季は、気象病の患者が特につらい。気象情報会社のウェザーニューズは、3時間ごとの「天気痛予報」を出している

▼熱中症も気象病の仲間だ。猛暑だった5月18日、本県は魚沼市など6地点で5月の観測史上最高の気温を記録、熱中症の救急搬送が相次いだ。5月1日から28日に熱中症で救急搬送された数(速報値)は、全国で3400人を超えた。前年比で7割増。本県も52人で4割増だった

▼熱中症の死亡者は、30年前まで数十人だった。それが2018年以降は千人超えが続く。政府は30年までに、犠牲者を半減させる行動計画を立てた。エアコンのない高齢者世帯などへの設置補助は欠かせまい

▼〈熱中症に気をつけてねと駐在さん六軒の部落(むら)廻(まわ)りくれたり〉横山初枝。昨年、本紙に投稿された短歌だ。空き巣どころか気象病やウイルスに弾道ミサイルまで心配しないといけないのか。初夏の空が恨めしくなりそうだ。

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