先駆者として道を切り開く姿あり、子育てとの両立にもがく姿あり…。本紙の県内経済面で随時掲載されている大型企画「ステップアップ」が面白い。本県ゆかりの女性経営者らの素顔に迫る
▼こうした企画が注目を集めるのは、それだけ企業経営に関わる女性が少ないことの裏返しでもあろう。日本の企業役員に占める女性の割合は15・5%。フランスの45・2%、米国の31・3%に比べ低水準にとどまっている
▼政府は女性活躍の重点施策を盛り込んだ「女性版骨太の方針2023」の原案を示した。東京証券取引所の最上位「プライム」上場企業で30年までに女性役員の比率を30%以上にする目標を掲げている
▼数値目標を設定し、実現に向けた施策に取り組むことは大切だ。一定数を女性に割り当てるクオータ制を導入するのも一手だろう。ただ、それだけではなかなか解消できないものもある。固定的な性別役割分担意識など感覚部分の格差がそうだ
▼「同じ指示をしても、男性が言う場合とは相手の反応が異なる」。働く女性からこんな言葉を聞くことがよくある。相手が男性の場合だけでなく、女性の時にも当てはまるという。職場での男性優位の意識が根強いことの表れだろうか
▼女性に指示されると、小ばかにしたような態度を取る人さえいるらしい。人間として恥ずかしい振る舞いだが、自分にも該当しないかどうか。「女性活躍」という旗印が形だけならいかにも薄っぺらい。当の女性からは、簡単に見透かされそうだ。