日本最大級の古墳群である宮崎県・西都原古墳群を見学した同僚から、絵はがきを土産にもらった。古墳を擬人化したコミカルなイラストに「こーふん」と添えてあった
▼古墳と興奮を掛けた駄じゃれなのだが、今年は古墳などの遺跡から興味深い発見が相次いでいる。まさに古代史ファンは興奮していることだろう
▼弥生時代の大集落跡として知られる佐賀県の吉野ケ里遺跡では、2世紀後半~3世紀中ごろの石棺墓が見つかった。現在は、ふたを開けて副葬品の有無などを調べている
▼3世紀中ごろは「魏志倭人伝」に書かれた邪馬台国の女王・卑弥呼や、その後継者である台与(とよ)の時代。気の早い古代史ファンからは「卑弥呼の墓か」との声も出る。邪馬台国はどこにあったのかという邪馬台国論争にも影響を与えるような、大きな結果につながるだろうか
▼邪馬台国幾内説の有力地・奈良県では1月に大きな発表があった。4世紀後半の富雄丸山古墳から盾形の青銅鏡と長さ2メートル超の鉄剣が出土、どちらも国内最大という。鉄剣は蛇のような曲がった形から「蛇行剣」と呼ばれ、同時代の鉄剣では東アジア最大というから驚きだ。当時の技術水準が想像以上だったと分かり画期的な発見と言われている
▼被葬者は大和政権を支えた有力者、あるいは長髄彦(ながすねひこ)との見方もあるらしい。長髄彦は神武天皇の大和入りを阻止しようと戦った神話上の人物だ。こうした発見で、謎の多い卑弥呼や長髄彦の実相に近づけるのか。歴史ロマンに浸りたい。