おもちゃの国内市場規模が2022年度に1兆円を超えた。比較可能な01年度以降では初めての水準だ。躍進を支えたのは、スポーツ選手やアニメのキャラクターが印刷されたトレーディングカード(トレカ)という
▼対戦型ゲームの道具になるほか、多くの種類をそろえる道のりがコレクター魂を刺激する。先日の本紙おとなプラスも県内の専門店や愛好家の姿を紹介していた
▼発行枚数が極めて少ないレアカードは1枚1千万円以上で取引されるというから驚く。それだけに詐欺事件などのトラブルも頻発したが、最近は不正な複製を防ぐサービスも登場している
▼紙片に絵などが描かれたカードは古今東西の人の心をくすぐる。代表例はトランプだろう。英語でカードといえば、まずはトランプの札を指した。トランプは本来「切り札」の意味だが、日本ではスペードやハートなどのマークがあるカードを指す言葉として定着した
▼英語で同じスペルの姓を名乗るのが米国前大統領のトランプ氏だ。機密文書を持ち出し、不法に所持していたとして起訴された。起訴状には軍事機密を外部の人間に平然とさらす姿が記された。あきれるというより身震いがする
▼それでも次期大統領選を巡る共和党の候補者争いでトランプ氏はトップを走っている。やはり「切り札」はこの人なのか。そういえば、この人が交流サイト(SNS)で「重大発表がある」とぶち上げ、ふたを開ければ自身をモデルにしたトレカの発売だったこともあったっけ。