青黒く輝く板を、至る所で見かけるようになった。太陽光発電のパネルである。広大な敷地にびっしりと設置したメガソーラー発電所は県内各地にある。住宅や公共施設、事業所の屋根にも設置するケースがずいぶん増えた

▼再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が始まった、2012年から急速に普及した。その多くは30年代後半に寿命を迎える見通しというから、廃棄パネルの処理が課題になる。そう思っていたら、再利用する試みがずいぶん広がっているようだ

▼例えば脱臭システムへの活用だ。パネルから出るガラスを粉砕し「多孔質ガラス」を作る。この種の素材は直径1~2センチの粒で表面積がテニスコート1面分にもなり、悪臭を分解する菌が広範囲に定着して高い脱臭能力を発揮するという

▼ガラスを砂のように加工して、防草材や反射材として活用する取り組みもある。メガソーラー発電所などではパネル下の地面の雑草対策が課題になるが、これを敷き詰めれば除草作業が大幅に楽になる。裏表の両面で発電できるパネルなら、太陽光を反射して発電効率もアップする

▼先日の本紙「おとなプラス」が民間企業による、大量廃棄時代を見据えた動きを伝えていた。国も4月末に専門家会議を立ち上げた。リサイクルに関する法整備の必要性などを検討するという

▼産業も暮らしも持続可能な仕組みを整えなければ立ちゆかなくなる。太陽光は再生可能なエネルギーだという。ならば発電装置も再生可能であってほしい。

朗読日報抄とは?