雨の季節ではあるけれど、雲が切れれば真夏を思わせる強い日差しが降り注ぐ。「俺様はここにいる」。太陽が存在感を誇示し、こんなふうに言っているようだ

▼太陽のもとになっているのが水素である。太陽を含む恒星は、ほとんどが水素からできたガスの固まりで、核融合反応によって膨大なエネルギーをつくり出している。私たち人間の世界でも、水素は古くからエネルギーとして注目されてきた

▼燃やしても酸素と反応して水になるだけで、二酸化炭素は発生しない。このためクリーンエネルギーとして期待されている。火力発電所や燃料電池車(FCV)の燃料としての活用が想定されている

▼政府も今月、水素基本戦略を改定した。今後15年間で官民合わせ15兆円を投資し、サプライチェーン(供給網)の整備を進める。2040年の供給量は、現行の6倍の1200万トン程度に拡大する方針だ。本県も水素の製造拠点や供給網の整備を進める目標を掲げる

▼課題はほかの燃料に比べて価格が高いことだ。ほかにも、生成する過程で電気などのエネルギーを必要とするため、そうしたエネルギーをつくる際に二酸化炭素が発生してしまう課題がある

▼これは再生可能エネルギーを活用することで解決できる。先日の本紙には、太陽光から得た電力で水素を製造する取り組みが紹介されていた。太陽と水素はここでも親和性が高いようだ。自然の恵みを再生可能なエネルギーとして活用する。資源が乏しいわが国だからこそ進めねば。

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