「球けがれなく道けわし」。野球に向き合う心を表わしているのか。新潟市出身の漫画家、水島新司さんの「球道くん」の主人公は、この言葉から「球道」と名付けられた。その名の通り、一心に白球を追いかける
▼武道や書道、茶道に華道…。一つのことを追求する姿を日本人は「道」と呼ぶ。そんな文脈で野球界では「球道」が使われることがある。「求道」にも通じるためか、海外発祥のスポーツの中でも求道的な精神が求められてきた印象もある
▼象徴的なのが髪型だ。かつて高校野球といえば丸刈りが当然だった。でも、そんな状況は大きく変わっている。日本高校野球連盟が先日発表した調査結果では、部員の頭髪の取り決めについて「丸刈り」と回答したのは2018年の前回調査の76・8%から大幅に減って26・4%だった
▼本県でも、公立校を中心に「脱丸刈り」の動きが進む。過去の本紙には、丸刈りの強制をやめた野球部についての記事が載っていた。監督が決断したきっかけは新型ウイルス禍だった
▼部活動は大幅に制限された。そんな中でも力を発揮できる集団に成長するには「全てを主体的にできるかどうか」が鍵を握ると考えた。脱丸刈りは選手の成長と競技力向上を促す一環でもあったということだ
▼もちろん主体的に丸刈りを選択する選手もいるだろう。個々の選手が自らに最適な選択ができる環境こそが大切なはず。夏の甲子園を目指す県大会があす開幕する。主体性を磨いて活躍する球児の姿が見たい。