猛暑に豪雨、突風と、この梅雨は暴れ放題だ。今後は警戒アラートが連発されるだろう熱中症が心配になる。新潟市に作品館がある美術家の故篠田桃紅さんは水墨を自在に操り、100歳を過ぎても制作を続けた
▼自らの消夏法を随筆に書いている。「からり、さらり、するり、きりり、ぴりりの五つの形容詞のつくたべもの」を勧める。からりとした揚げ物や、するりと入る冷たい麺、ぴりりとした薬味…。食欲がうせる日も、こうした「りの字」がつく一品で夏バテをしのいだ
▼クールビズの軽装にも通じそうだ。からり、さらりとしたリネンやコットン。そんなシャツならするりと着られる。涼感を呼ぶ服装センスでピリッと決めれば、仕事もきりりと臨めよう
▼節電とビジネス上の礼儀の両立を目指すクールビズを巡っては、迷いが生じることもある。目安とされる28度は「エアコンの設定温度」か「室温」か。環境省の調査では7割近くが「設定温度」と勘違いしていた。正解は「室温28度」だ
▼無論これは目安であり、快適に感じる環境には個人差がある。さらには湿度や日当たり、エアコンの位置によっても違う。冷え性や暑がりなどの体質、その日の体調もそれぞれ。冷房と除湿のどちらを選ぶかも悩ましい
▼世界気象機関(WMO)によると、今月7日の世界の平均気温が17・24度と観測史上最高を記録した。今後も懸念される酷暑をどうやり過ごすか。周囲への気配りを忘れず「り(理)」にかなった消夏法を見つけたい。