きょうだいは最も身近なライバルなのかもしれない。兄や姉に憧れ、追いつきたいと努力する。弟や妹が迫ってくれば、負けまいと頑張る

▼年下の方が先を行くことだってあるだろう。肉親だからこその葛藤を抱えることもあり得る。それでも家族の中によきライバルがいれば、自らを高める原動力になるはずだ

▼いつも一緒にゲレンデで雪と戯れていた姉妹は互いに競い合いながら、ついに五輪の舞台を同時に踏みしめるまでに成長した。妙高市出身の冨田せな、るき姉妹が北京大会のスノーボードハーフパイプで輝く演技を見せた

▼共に3歳でボードに乗った。仲良く、楽しそうに滑っていた。せな選手は大人を向こうに回し、難コースにも果敢に挑んだ。るき選手は姉が滑るコースに怖くて入れず涙を見せることもあったが、諦めることはなかった

▼姉妹は先月、それぞれ世界レベルの大会を制した。今回の五輪では、2大会連続出場のせな選手が難度の高い大技をきっちり決めて見事に銅メダルをもぎ取った。初出場のるき選手も、持ち味を発揮して堂々の5位に食い込んだ。いま22歳と20歳。互いの存在がいい刺激になっているようだ

▼同じ道を歩むきょうだいは、そういない。同じ道を歩んでも、うまくいくとは限らない。ただ今大会の日本選手団では冨田姉妹のほか、スピードスケート女子の高木菜那、美帆姉妹も活躍している。きょうはスノーボード男子ハーフパイプで村上市出身の平野步夢(あゆむ)、海祝(かいしゅう)兄弟が強敵としのぎを削る。

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