海軍経理学校入学当時の佐藤正男さん。南方の戦地から新潟の家族に宛てた軍事郵便が残されている
海軍経理学校入学当時の佐藤正男さん。南方の戦地から新潟の家族に宛てた軍事郵便が残されている
大叔父の手紙を読んで「故郷に帰りたかったでしょうね」と語る田辺真理子さん=新潟市中央区

 戦後78回目の夏がやって来た。2023年も多くの新潟日報読者から、戦禍の記録や手記、遺品が寄せられた。その一つ一つが、戦時を生きた人々の証しだった。伝えたいと願う人がいる。受け継がなければと誓う人がいる。過去から託された思いを未来につなげ、平和を考える。

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 「この年になって初めて戦争をリアルに感じた」。元小学校教員の田辺真理子さん(58)=新潟市中央区=は、20通を越すはがきの束を取り出して言った。差出人は大叔父の佐藤正男さんだ。正男さんのおいに当たる父が2022年の秋に亡くなり、自宅を整理していて見つけたという。

 田辺さんの祖母マスさんは、曽根村(現新潟市西蒲区)出身で8人きょう...

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