タブレット端末を使った学習。ランドセルにぶら下がった防犯ブザー。登下校時の体への負担を減らすため、学校に教科書などを置いてくる「置き勉」。今の小学生の日常には、40年ほど前の自分の頃にはなかったものがたくさんある
▼変わらない光景もある。その一つが共用の給食着。わが家の息子が通う学校はかっぽう着のような形で、給食当番になった子が着て、週末に持ち帰る。新潟市教育委員会によると、集計は取っていないものの、こうした学校は今も多い
▼休み明けに持たせる保護者の側になると正直面倒な存在だ。洗って、干して、アイロンをかけて。ボタンが取れそうなら縫い付ける。日曜の夜におずおず差し出され、慌てた経験がある人もおられよう
▼「どうして早く出さないの」といった小言一つで済めば良いが、この扱いに頭を悩ませる家庭もある。化学物質過敏症の人たちだ。本紙にも2年ほど前に投書があった。メディアでもしばしば取り上げられる
▼他の家庭の洗剤や柔軟剤などのにおいで体調を崩し、生活に支障が出る。「香害」とも表現される。こうした状況から共用をやめた学校もある。ただ個人でエプロンなどを持参する場合、経済的な負担が生じる。物価高の昨今、対応が難しい家庭もあるだろう
▼県内の一部小学校では夏休みが明けた。給食着も再び出番となる。息子が夏休み前に持ち帰り、1カ月以上わが家で保管した給食着を手に「時代とともに変えるべきか、そのままか」と思いを巡らせる。