擬態語や擬音語の多さは日本語の特徴の一つである。例えば「歩く」や「走る」に関する言葉では「てくてく」「すたすた」「すたこら」「せかせか」など、多くを使い分けている
▼時速20キロ程度で走らせるというから自転車並みだろうか。弥彦村が2024年度に本格導入する自動運転車両だ。かわいらしいデザインの小型バスが弥彦山の麓を走る様子を想像してみる。少々擬人化して「とことこ」という言葉が浮かんだ
▼自動運転の公共交通は、車の免許を持たない住民や観光客の移動手段として注目を集める。村は海外メーカー製の電気自動車を購入予定で、12月に公道で実証実験を始める
▼自動車としてはゆっくり走るため、交通量の多い道路では渋滞を生まないための工夫も必要だろう。「とことこ」進むバスが安全に、スムーズに運行できるよう、多くのデータを集めて本格導入に備えたい
▼公共交通の自動運転は、全国各地で導入の動きがある。県内では佐渡市も来年1月に実証調査をする。背景にはバスなどの運転手が不足し、サービスの維持が難しくなっていることがある。弥彦の自動運転車両には運転補助員が乗って安全確認などに当たるが、将来は乗員なしの完全な自動運転も実現させてもらいたい
▼幼い子どものように「とことこ」歩き始めた車両も、いずれ「すいすい」と走るようになるといい。自動運転が、先細りする公共交通の救世主となるかどうか。課題を乗り越えて「すくすく」と成長するのを期待したい。