ご当地グルメやご当地キャラなど、さまざまなお国自慢があるが、本県のご当地スポーツといったら何だろうか。バスケットボールやスキーなどが思い浮かぶ
▼市町村別では柏崎市の水球が有名だ。1964年の新潟国体の会場に選ばれ、泳ぎが得意な中学生が強化校の柏崎高校に集められた。新潟地震で国体は開催されなかったが、翌年のインターハイで同校は連覇を達成した
▼水球によるまちづくりに魅力を感じ、世界で活躍した元日本代表主将の青栁勧さんが2009年、柏崎に拠点を移すと動きはさらに活発化した。翌年にはブルボンウォーターポロクラブ柏崎(ブルボンKZ)が結成された
▼青栁さんを慕って柏崎に集まった選手は、リオデジャネイロ、東京と2大会連続で五輪に出場した。今月上旬に開かれた杭州アジア大会にも稲場悠介選手ら3人が出場し、パリ五輪への切符を手にした
▼最近のW杯で日本代表が躍動したバスケやラグビーに比べ、水球の人気は全国的な広がりに欠けるのが実情だ。アジア大会ではテレビ中継がなく、決勝のみが動画配信サービスで流された。「勝たなければメジャーになれない」。柏崎の水球関係者は口をそろえる
▼水球日本選手権がきょう開幕し、ブルボンKZは男女が出場する。まずは多くの人々に、この競技の魅力を伝えてほしい。そして、パリ五輪でブルボンKZの選手が活躍して勝ち進んだとしたら…。水球の人気は「ご当地」にとどまらず、大きな広がりを見せるのではないか。