北海道での最深積雪は2018年2月に幌加内町で観測された324センチだ。町内では、商店街などがこの記録をPRする看板をいくつか掲げている。中には三条市出身のプロレスラー、ジャイアント馬場さんが登場するものもある
▼身長209センチの馬場さんと比較して、いかに多くの雪が降ったかをアピールしているらしい。きのう、その馬場さん2人分を超える積雪を観測したのが津南町だ。未明の時点で419センチ。この地点での観測史上最多を更新した
▼4メートルを超えるのは16年ぶり。見る者を威圧するような雪の量である。雪の壁がのしかかってくるようで、息苦しささえ覚える。雪を資源ととらえる考え方は定着したけれど、これほどの雪を目の前にすると災害と呼ばざるを得ない
▼住民の声が紙面に載っていた。午前1時すぎから正午ごろまで3回除雪をした。「一日7回は除雪をしている」。疲労困憊(こんぱい)であろう。繰り返される降雪で体力は限界かもしれない。それでも雪を掘らねばならない。そうしなければ暮らしが破壊される
▼地元の方々には及ぶべくもないが、魚沼地域で勤務した際にはよく雪掘りをした。雪かきというレベルではない。腕といい、足腰といい、すぐにぱんぱんになって悲鳴を上げた。うずたかい雪の壁を前に、気が遠くなった。あれを一日に7回とは…
▼県内では今冬も、除雪中の事故や建物の倒壊など雪の被害が相次ぐ。先日来の寒波による降雪は峠を越したとはいえ、白い魔物との闘いはなお続いている。