なかなか不穏な書き込みだ。交流サイト(SNS)で見つけた。およそこんな内容である。「会社での匿名アンケートは実際には匿名じゃない」「匿名の形式を取っていても、全て会社側に筒抜けと思った方がいい」

▼真偽のほどは分からない。ただ、投稿の主は自身が属する組織、あるいは上司を信用していないのだろう。実例といえるようなケースもあった。大分県内の複数の公立中で、生徒会選挙でどの生徒が誰に投票したかを教員側が把握できるようになっていた

▼授業で使うアプリを投票や集計に活用した結果、生徒への説明がないまま投票行動が可視化される仕組みになった。「投票の秘密」という選挙の原則が、ないがしろにされていた

▼元自衛隊員の女性が性被害を訴えたことをきっかけに実施された特別防衛監察では、申し出があったハラスメント1325件のうち、6割以上が内部の相談員や窓口を活用しなかったと回答した

▼「かえって不利益を受ける恐れがある」などがその理由だ。実際に海上自衛隊では、セクハラ被害者の女性が加害者の男性と会うことを拒否していたにもかかわらず、謝罪を受けるための面会を強要されていた

▼ハラスメントを巡っては、被害を訴えることで一層不利益を被る「二次被害」の問題が再三にわたり指摘されてきた。自衛隊に限らず、学校や企業などこの国の組織には人権に無理解な体質がまだまだ残っていると言いたくなる。組織に所属するみなさん、あなたの所は大丈夫ですか?

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