「8度のスイッチ」。こんな紅葉の目安があるそうだ。最低気温が8度を下回る寒さになると、落葉樹の葉が赤やオレンジ、黄色へと色づき始めるという
▼新潟市中央区の最低気温は、平年値で8度を切るのは11月11日から。ただ、この秋は気まぐれな天気が続いた。空前の猛暑だった夏を引き継ぐように、11月上旬は最高気温が25度を超す夏日を記録するなど、汗ばむ日もあった
▼それが立冬を過ぎると、最低気温が8度を切る日も出てきた。職場の近くの街路樹もスイッチオン。イチョウは黄緑から明るい黄色へ。ケヤキはだいだい色や茶色のまだら模様になってきた
▼紅葉や落葉は木々の冬支度とされる。陽光が弱まり光合成の効率が落ちると、落葉樹は葉に養分を送ることをストップする。越冬を見越してエネルギーを節約するためだ。木々の冬支度は私たちの心を和ませたり、落ち葉が地を肥やして生物の多様性を守ったりする作用がある
▼一方、東欧からは背筋が凍るような冬支度のニュースが届いた。厳冬期を前にロシアがウクライナへの空襲をいったん手控え、ミサイルを温存しているという。暖房のためのエネルギー関連施設を集中攻撃する準備だと指摘されている
▼ウクライナやパレスチナなど世界には、冬の寒さを耐え忍ぶどころか、命の危険と隣り合わせで日々を過ごさねばならない人が多数いる。〈冬支度人の温(ぬく)さを溜(た)めておく〉若林柳一。紅葉を楽しめる平和に感謝しながら、何かできることはないかと自問する。