朝晩の冷え込みで風邪をひいた方もおいでだろう。体調を崩すことが増える冬場は献血に協力する人が減るという。血液は長く保存できないから献血の減少は医療への影響が大きい

▼加えて気がかりなのが若い世代の「献血離れ」である。日赤によると、2022年度に協力した30代以下は167万人。10年前から約33%減った。県内は約38%減だ

▼少子化が進んだことに加え、学校での「学内献血」の機会も少なくなった。新型ウイルスの流行により献血バスの受け入れが減ったり、授業が過密で時間が取れなかったりといった背景があるらしい

▼この10年余、協力者の総数は500万人前後で推移する。若年層が減った分を40代以上が支えることで総数を維持しているが、若年層の減少傾向が続けば総数も先細りになりかねない。一方で高齢化は進み、血液の需要は拡大する

▼若年層に協力を呼びかける「はたちの献血」キャンペーンは半世紀近く続いている。これまでアイドルグループの乃木坂46のメンバーやフィギュアスケートの羽生結弦さんら、20歳前後のキャラクターを起用してきた。若者を象徴する言葉として「はたち」を使っているが、一部の献血は16歳からできる

▼スマホや漫画本を片手に椅子型のベッドでのんびり…。献血ルームで過ごす時間も悪くない。リラックスして過ごす時間が誰かの命を救うかもしれないと思うとなんだかうれしくなる。これからは、街で献血を呼びかけるスタッフの声が一層熱を帯びる季節だ。

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