雪と向き合う季節となった。雪国で生きる人はその美しさも怖さも肌感覚で知っている。それをほかの地域の人に理解してもらうのは簡単ではない。サッカーJリーグのシーズン移行と冬に原発事故が起きた際の避難、この二つの問題に触れ、改めて思う
▼Jリーグは、開催時期を本場欧州と合わせる「秋春制」を2026年に導入することを決めた。アルビレックス新潟は冬の試合が増える可能性があることなどから反対していた。雪国の関係者やファンには不安の声が根強い
▼冬場は雪の少ない地域で試合をするとしても、天候によってはファンが新潟から移動できない恐れもある。厳冬期は試合をしない期間を設けるが、シーズンは続くので、その間の練習環境はどうなるのか
▼新潟の中野幸夫社長は「そもそも、雪が降ったら家から出られない」と雪国の現状を訴えてきた。多くの課題が積み残されたままで、降雪地からは見切り発車のように映る
▼冬に柏崎刈羽原発で事故が起きた時の備えも大きな課題だ。周辺では昨年末、避難道路となる幹線が豪雪で長時間通行止めになった。そんな状況で事故が起きたらどうやって逃げるのか。長期間、屋内退避する不安も大きい。国と県は10月末に大雪を想定した訓練を実施したが、机上で課題を抽出するにとどまった
▼なぜ雪国ばかり…。理不尽にも思えるけれど、降雪地の実情を理解してもらう取り組みを続けていかねばならないのだろう。私たちはこれからも、雪とともに生きていく。