元旦の「旦」という字は「日」が「一」の上にある様子から「夜明け」や「早朝」を意味するという。「一」は地平線や水平線だろうか。本県では山の端から日が昇るのが一般的だが、海からの朝日を望める土地もある
▼有名なのは佐渡北端の景勝地、二ツ亀の周辺だ。海からの日の出と海への日の入り、両方を眺められる場所がある。もっとも海からの朝日が見られるのは夏場が中心だという
▼初日の出も海から、というわけにはいかないようだが、それにしても「旦」という字を象徴するような場所である。この字を眺めてみれば日の出のようであり、一方で日の入りのようにも見える。漢和辞典によれば、語義は第1に「夜明け」「早朝」とあるが、2番目には「1日」や「ある日」という解説が出てくる
▼同じ場所で、海からの朝日と海に沈む夕日を眺められるとは。何ともうらやましい。日本海に突き出た地形のおかげだろう。自然の恵みと言っていい。西に向かっても、東へ目を凝らしても抜群の眺望が広がる。どこまでも見通せそうな眺めに心が洗われる
▼世間の見通しがきかない時代だから、なおさらそう思うのかもしれない。西を向いても東を見ても、はたまた足元を見つめても、明日の行方は判然としない。この先にどんな世界が広がるのか、なかなか見えては来ない
▼ぼやくばかりでは展望は開けないだろう。先が見えないのなら、見える場所まで歩いて行きたい。2024年の元旦、そんな「一年の計」を立ててみる。