〈アスファルト道路もあちこちでポッカリ地割れしており、地下からボコボコ水が吹き出している〉〈砂といっしょに吹きあげた水が、高さ二メートルもあった〉〈家が傾き、砂の中にめり込んだ〉
▼1964年の新潟地震を伝える本紙の記事から拾った。ちょうど60年の時を経て、この元日に北陸を襲った激しい揺れで本県も打撃を受けた。新潟市西区を中心に、新潟地震を思わせる被害が多発した
▼今回も液状化現象が起きたようだ。強く揺さぶられると、通常は固く締まっている地盤が液体のようになる。道路はひび割れ、隆起したり陥没したりした。地中から水が流れ出す場所もあった。暮らしへの影響は甚大だ
▼液状化が注目されたのが新潟地震だった。60年前を思い出した方もいるだろう。再び同様の現象が出現した。この地の地盤の特性かもしれない。地中で起きていることは目に見えず、正確に把握するのは難しい。それでも、自分が住む場所の特性を理解することが防災の第一歩になるはずだ
▼今回の震源は能登半島の北端周辺だった。新潟市からの直線距離を測ると150キロほど。遠いか近いか、人によって感じ方は違うのかもしれない。ただ、震源からこのくらいの距離であっても大きな被害をもたらすことがある。そう思い知らされた
▼よりによって正月に…と唇をかむ。羽田空港では航空機による重大事故も起きた。災害も事故も、時と場合を選ぶことなどない。そんな当たり前のことを、改めて胸に刻む年明けになった。