子育てに王道はない。手探りを繰り返す毎日が、やがてわが家の子育てになっていく。パパたちが歩んできた「パパの細道」をのぞかせてもらう対談企画。2ndシーズンのテーマは、妊娠中のママと歩む「プレパパ期」。今回はどんな細道が待っているだろうか。

横田 孝優
コピーライター。10歳(男)・8歳(男)・8歳(女)の3児のパパ。企業理念の開発やホームページの文章制作などを手がけるほか、新潟日報asshにて2024年1月まで子育てコラムを連載。 https://ztdn.net/

石丸 大志さん
8歳(男)・6歳(女)・4歳(女)のパパ。SNS総フォロワー数15万人。ママの気持ちを楽にする考え方やパパだからこそできる子育ての情報などを発信。2023年10月に「家族みんなと笑顔になる新米パパの子育てのミカタ」を出版。
マタニティーフォトとバースプラン
横田 安定期に入ると、いろいろな準備も進めやすくなると思うのですが、この時期のプレパパはどう過ごすといいのでしょうか。
石丸 職場にも妊娠したことを言える時期ですよね。そうなれば育休などの制度について調べると同時に、予定日付近の仕事の調整はもう始めてもいいんじゃないでしょうか。
横田 仕事の調整は早いに越したことはないですもんね。
石丸 私はこの時期にマタニティーフォトをよく撮っていました。私が撮影したり、三脚を使って二人で撮ったり。お腹の変化も残しておきたかったし、記念にもなりますよね。

Mr.Children(ミスターチルドレン)のCDジャケットのアイデアを参考に撮影した記念写真。赤いひもで家系図をイメージし、出産前(画像左)と出産後(画像右)にそれぞれ撮影。互いの両親にも協力してもらい、家族みんなの記憶に残る写真となった
横田 私は石丸さんの著書を読んで「バースプランについて話し合う」という提案が印象的でした。立ち会いをどうするかとか、無痛分娩を希望するかとか、細かいところだと陣痛室で好きな音楽をかけるとか、ママやパパの希望をまとめたもの。私たち夫婦の場合、「立ち会ってほしい」「分かった。立ち会う」くらいしか話してなかったんです。
石丸 うちは第一子のときに助産院の妊婦検診で、話をする機会があったんですよね。だからやっぱり妊婦検診にパパが付いて行くのは大事だと思います。
横田 うちももっとじっくり話せばよかったと思いました。なぜ立ち会ってほしいのかもっと聞けばよかったし、私は私で立ち会いへの不安もあったし、心残りがあります。結局は帝王切開になったので、立ち会いもできなかったんですが、そういった可能性も想定しながら話せればよかったですね。
石丸 出産当日までどうなるか分かりませんからね。うちも結局予定日を1週間ほど過ぎてしまったので、助産院で生むはずが提携病院での出産になったんです。予定通りにはいかないこともありますが、それも出産なのだと学びました。
いろいろなパパママから学べる場を
横田 育児について、私は今でも手探り状態ですが、男性は「パパのなり方」をどうやって学ぶといいんでしょうか。個人的には教習所がほしいんです。自動車は一つ間違うと他人や自分の命を奪ってしまうもの。だからこそ、教習を受けて、勉強もして、免許を取って初めて運転ができる。子育てもある意味、命に関わることでもあり、人生を作っていくことでもある。教習所があってもいいくらい大変なことだと感じています。
石丸 政府に整備してほしいくらいですよね。私は産前からパパママたちが学べる場所づくりをしたいと考えています。大変な思いをしている親の情報もリアルだから必要なんですが、楽しんでいるパパママの声も重要ではないでしょうか。
横田 あとは、過度に完璧なママ像・パパ像を抱いてしまって自分を苦しめてしまうこともあるので、「このくらいでいいんだよ」みたいなリアルなラインが見られると、子育てに対して気が楽になるのかなと思います。
石丸 まずは、これからパパになる男性も含めて、パパたちと座談会をしたいと思います。リアルでもいいし、リモートでもいいです。パパたちもきっと不安な気持ちを誰にも言えずにため込んでいるはず。そうした気持ちを吐き出せたり、いろいろな先輩パパから話を聞いたり、そんな場所づくりを地元の三条市から始めていきたいです。
横田 いろいろなパターンが聞けるほど参考になりますよね。うちは妻が日曜日も仕事のことが多く、ずっとワンオペ育児でした。だからいつもワンオペをしているママと話が合うんです。あとは双子の情報はさらに貴重かもしれません。
石丸 普通の両親学級では一人を想定した話が多いでしょうし、双子や三つ子の場合の話を聞ける場は必要ですね。
横田 ぜひ作ってください。私も話をしに行きます。
石丸 お願いします。
提案ではなく、共感
横田 石丸さんは奥さまと1日2時間お話をすると本の中で書かれていました。うちは多分そんなに話をしていないです。
石丸 私からも話はするんですが、聞くほうが多いと思います。「そうだね」「なるほど」「今そういう気持ちなんだね」と受け止める時間をなるべく作ろうと意識をしています。
横田 解決策の提案ではなく共感が大事、と指摘されているところもハッとしました。この間も妻と話していて、こうしたら?と言ってしまって。「ごめん、提案しちゃいました」と謝ったら、「そうそう…」とあきれられてしまいました(笑)。

次女ちゃんが4歳になった時のバースデーフォト。家族みんなニコニコ笑顔で、仲良く楽しい石丸さん家族の雰囲気をとらえた一枚
石丸 意見を求めているときもあると思うんです。ママにとってはパパが一番頼れる存在。でも、ただ話がしたいときに解決策を出しちゃうとギャップができてしまいますね。
横田 「子どもの前でママを褒めよう」という提案も良いなと思いました。
石丸 私は、褒めの前に感謝があるんです。そもそも一緒に過ごせること自体、当たり前じゃない。それに、一日子育てを頑張っても誰からも感謝されないという悩みを聞いたこともあります。一番近くにいるパートナーだからこそ、ありがとうを伝えることが大事ですね。
横田 普段から言っているとは思うんですが、もっと言うようにします。最後に、プレパパ読者のみなさんにメッセージをお願いします。
石丸 繰り返しになるんですが、「こんなママがいる」「こんなパパがいる」という情報はたくさんあっても、目の前のママは一人しかいません。つわりや陣痛で大変な思いをしながら、世界でたった一人のママが、世界でたった一人の子どもを生んでくれることで、自分はようやくパパになれる。私たち男性も大変なことがたくさんある中でパパになるんですけど、心身のつらさや痛みはやっぱりママのほうが大きいはず。だから、世界でたった一人のパートナーとして、ママに寄り添ってほしいですね。

友人家族とピクニックに行った際に撮ってもらった家族写真。爽やかな晴天の中、家族でワイワイ楽しく過ごす声が今にも聞こえてきそう
(終わり)