子育てに王道はない。手探りを繰り返す毎日が、やがてわが家の子育てになっていく。パパたちが歩んできた「パパの細道」をのぞかせてもらう対談企画。3rdシーズンのテーマは長いようで短い「子どもと過ごす時間」。今回はどんな細道が待っているだろうか。

横田 孝優
コピーライター。11歳・9歳の双子の3児のパパ。企業理念の開発やホームページの文章制作などを手がけるほか、新潟日報asshにて2024年1月まで子育てコラムを連載。 https://ztdn.net/

飯塚 政雄さん
9歳・7歳の双子の3人の男の子のパパ。柏崎市で不動産会社「八幡(はちまん)開発」を経営する傍ら、2020年にはサッシ工場をリノベーションした複合施設「ハコニワ」を開業した。また、地域の子どもたちの放課後時間をより充実させようと、外遊びを中心とした民間学童保育事業を計画中で、2026年春のオープンを予定している。

〈飯塚さんのある一日〉
子どもたちが起きてくる前に起床して自分の時間を過ごす飯塚さん。昼間は仕事をし、帰宅ししたら子どもたちとお風呂に入る。夕食後は親子で遊ぶ時間。将棋やボードゲームなど、3人のお子さんとやりたい遊びを一緒に楽しんだら21時半ごろに就寝。休日は子どもたちを連れて外へ遊びに行くことが多いという。
夜の時間はローテーション
横田 一日の中で、お子さんとどのように過ごされていますか。
飯塚 平日一緒に過ごすのは、朝1時間と夜3時間ほどです。休日はほぼ一日中、子どもたちと一緒に過ごしています。
子どもたちは6時から6時半に起きて、7時20分過ぎには登校します。朝はごはんを食べながらいろいろな話をし、夜は18時半ごろに私が帰宅し、一緒にお風呂に入ることもあります。夕飯を食べながら話をして、その後の時間は子どもたちのやりたいことに付き合うようにしています。
横田 具体的には、どんなことをされるんですか?
飯塚 将棋やボードゲームなどで遊ぶ日もあれば、「今日はお父さんとテレビを見たい」という日もあります。3人それぞれの希望に合わせて、順番にやるようにしています。
横田 なるほど。ローテーションで回しているんですね。
飯塚 はい。そうしないと、それぞれが好き勝手なことを言って、まとまらなくなります(笑)。
横田 みんなお父さんが大好きなんですね。小学生になると宿題もありますよね。
飯塚 一応、4時から4時半までを宿題や読書の時間にしようと決めています。でも、3人いると、積極的に宿題をする子もいれば、いつまでもやらない子もいます(笑)。あまり言いすぎても良くないですし。結局学校で怒られるのは本人なので、少しは促しますが、強制はしません。

飯塚さんが運営する複合型商業施設「ハコニワ」(柏崎市)裏には田んぼが。田植えより、泥遊びに夢中
休みの日は、外遊びが基本
横田 お休みの日は、どのように過ごすんですか。
飯塚 意識して外で遊ぶようにしています。冬はスキーに行ったり、雪遊びをしたりしますね。家族で出かけることもありますが、外遊びの時は、基本私が一人で3人を連れて行くことが多いですね。
外遊びを重視しているのは、東京大学名誉教授の養老孟司(ようろうたけし)さんの考えに影響を受けているところもあります。早期教育よりも野山で遊ばせるほうが、成長にプラスになるという考え方に共感しているんです。
春から秋にかけては登山、川遊び、海、釣りに出かけたり、昆虫採集をしたりしています。去年は昆虫採集に30回以上行きましたね。
横田 30回以上ですか! すごいですね。3人とも外遊びは好きなんですか?
飯塚 そうですね。特にここ1〜2年は昆虫が大好きで、福島県にある「ムシムシランド」や那須にある外国の昆虫を扱うショップにも行きました。去年の夏休みには「カブクワすごいぞ!!」という新潟市で開催されたイベントに柏崎市から3回も足を運びましたね。

冬は家族でウィンタースポーツを楽しむ飯塚さん一家。写真は杉ノ原スキー場(妙高市)でスキーを楽しむ様子
一人ずつの日ができた理由
横田 3人共通の趣味があると、一緒に出かけやすいですね。
飯塚 そうですね。ただ、それぞれの興味の違いもあるので、全員で行く時と、長男・次男・三男をそれぞれ別に連れて行くこともあります。
横田 3人一緒だと、それぞれが少しずつ我慢しないといけなくなることもありますもんね。
飯塚 「今日は長男の日」と決めたら、次男・三男はついてこないこともあります。何度も経験していくうちに、「今日は行かない」と自分で決めることも増えましたね。
当社はベーカリーもやっていて、去年はイベントに5回ほど出店したのですが、子どもたちも一緒に連れていきました。ベーカリーの売り上げだけでなく、子どもたちがいろいろな人と接する機会を作ることを意識しています。
例えば、「960円です。1000円お預かりします。40円のお返しです。ありがとうございました」と、接客を通じて算数の勉強やコミュニケーションなどの大切な経験ができますよね。
横田 へえ、いいですね。
飯塚 お客さんが不安にならないよう、私が一緒に確認しながらやっていますが、子どもたちもだいぶ慣れてきましたね。

飯塚さんが運営するベーグルとクロワッサンのお店のブース出展をお手伝いする子どもたち。お客さまとのやり取りを通して、子どもたちは商売の基本を学んだ様子
横田 素晴らしいですね。それぞれ1人の日を決めるというのは、何かきっかけがあったんですか?
飯塚 2年前くらいからですかね。3人一緒にいると意見が食い違って、出発時間が30分も遅れてしまった、みたいなことがよくあったんですよ。
横田 せっかくのお出かけなのに、けんかになっちゃうこともありますよね。
飯塚 次男がすごく植物が好きなんですけど、新潟市のお店をあちこち回っては「ここもすごい!ここもすごい!」って大興奮するんですが、長男や三男は興味がないので、ある時、4軒目に入った時、三男がついに「いい加減にしろー!」って爆発したことがありました。そういうこともあるので、「今日は誰の日」と決めるようにしました。
横田 なるほど。面白いエピソードですね。でも、それぞれ好きなことや興味がはっきりしていて、お父さんに伝えられるってすてきだと思います。
(後編に続きます)