子育てに王道はない。手探りを繰り返す毎日が、やがてわが家の子育てになっていく。パパたちが歩んできた「パパの細道」をのぞかせてもらう対談企画。3rdシーズンのテーマは長いようで短い「子どもと過ごす時間」。今回はどんな細道が待っているだろうか。

横田 孝優
コピーライター。11歳・9歳の双子の3児のパパ。企業理念の開発やホームページの文章制作などを手がけるほか、新潟日報asshにて2024年1月まで子育てコラムを連載。 https://ztdn.net/

飯塚 政雄さん
9歳・7歳の双子の3人の男の子のパパ。柏崎市で不動産会社「八幡(はちまん)開発」を経営する傍ら、2020年にはサッシ工場をリノベーションした複合施設「ハコニワ」を開業した。また、地域の子どもたちの放課後時間をより充実させようと、外遊びを中心とした民間学童保育事業を計画中で、2026年春のオープンを予定している。

今日のうれしかったこと

横田 飯塚家の教育方針として、大切にしていることはありますか?

飯塚 まず「先手の挨拶をする」ことを大切にしています。元気よく自分から挨拶をする。そして、失敗を経験させることも大事だと思っています。親が口を出しすぎず、自分自身で考えさせることを意識していますね。

毎日の夕食時に、今日一日の「うれしかったこと」「失敗したこと」を子どもたちに聞いています。

双子の次男くん・三男くんと船で鯛釣りに出掛けた日の様子。釣れた鯛を手にニコニコ笑顔の3人

横田 すてきですね。それを始めたきっかけは何だったんですか?

飯塚 ある本で、メタ認知能力を高める有効な方法の一つとして紹介されていました。一日の終わりに振り返りをすることで、自分を俯瞰(ふかん)的に見る力が養われるそうです。

横田 お話を伺っていると、子育てに関する本や記事をよく読まれている印象があります。積極的に情報収集をされるタイプですか?

飯塚 興味のあることは本を読んだりネットで調べたりします。特に、長男が小さい頃は試行錯誤の連続でした。自分の知識不足が子どもに悪い影響を与えるのは避けたいと思い、できるだけ学ぶようにしています。

親の姿を子どもは真似しますよね。先手の挨拶をする、ごみを拾う、靴やスリッパをそろえるなど、自ら率先してするように心掛けています。できるようになったこと、何度言ってもなかなかできないこと、3人いるので温度差もありますが、ずっと続けていきたいと思います。

横田 素晴らしいですね。

飯塚 時には子どもから指摘を受けることもあります。「ゴミが落ちているのに何で拾わないの」「約束を守れといつも言っているのに、自分が守っていないじゃないか」など。子どもの方が正しいことを言っていることも多々あります。

横田 親のほうが学ばされることもありますよね。

飯塚 「お父さんが間違ってた」と素直に謝ります。

自分がやりたくてやっている

横田 多くの親が子どもたちとの時間を増やしたくても、毎日忙しくてなかなか時間を作れないという現実があると思います。限られた時間を大切にするために、心がけや行動として重要だと思うことはありますか?

飯塚 人それぞれ状況が違って、増やしたいと思っている人もいれば、無理に増やさなくてもいいと思っている人もいると思います。でも、増やしたいなら、結局は自分の行動で時間を作るしかないと思います。私の場合は、比較的自由に動ける環境なので、自ら時間を作って子どもと過ごしています。ただ、仕事が終わるのが遅くて時間が取れない方もいるし、転職も一つの選択肢ですが、簡単ではないですね。

年に数回子どもたちと一緒に登山へ出掛ける飯塚さん親子。この日は柏崎市の黒姫山へ。美しい山々を背景に親子4人で記念にパチリ

横田 物理的に時間を増やすことが難しい時もありますよね。でも、限られた時間を濃密にするという考え方も大切かもしれません。例えば、お子さんと一緒に楽しめることを見つけることって重要だと思うんです。

飯塚 そうですね、まさにその通りだと思います。去年の夏は、夕食後毎日のように子どもと一緒に昆虫採りに行っていました。しばらく続けていると私の方が楽しくなってしまい、子どもが行かない日でも、私が一人で虫かごを持って行くこともありました。

横田 30回の中には、飯塚さん一人の日もあったんですね(笑)。

飯塚 平日でも、日の出前によく一人で行きました。子どもたちが朝起きてきたときに喜んでくれるのがうれしくて。でも、あまりによく行くので、途中から子どもたちは「今日も行って来たのか…」とあきれていました。

子どもの自由をサポートする

横田 お子さんも、まるで友達と遊んでいるような感覚になるんでしょうね。

飯塚 長男は野球が好きで、チームに入りたいと言っていますが、土日の練習が午前中にあるので、どうするか迷っています。野球チームに入ると今まで親子で一緒に遊びに行っていた時間が減ってしまうのが残念なようです。

横田 なるほど、年齢的にも迷う時期ですね。

飯塚 本人がやりたいことをやらせてあげたいと思っています。ただ、何かをやると他の何かができなくなることもあることを伝え、最後は自分で決めるよう伝えています。

横田 それでは、最後の質問です。子育てを頑張っている読者の皆さんに向けて、一言メッセージをお願いします。

飯塚 偉そうに言う立場でもありませんが、強いて言うなら、「その時を大切にすること」が重要だと思います。子どもは親がいなくても成長しますので、親が手出し口出しをしすぎず、子どもが自由にやりたいことを見つけられるようにサポートすることが大切だと思うんです。

いろんなことを経験させて、子どもたちが興味を持つことが見つかれば、自ら学んでいくようになると思います。学校の勉強だけでなく、実際の体験を通じて学びを深めることができるはずです。そして、親が子どもに自由を与えることで、さらに成長していくと思います。

「季節ごとの外遊びを通して、いろんなことに興味を持ってもらいたい。けがをすることがあっても、その経験からの学びも大切にしたい」と話す飯塚さん

(終わり)