新年度が始まり、新社会人が第一歩を踏み出した。次代を担う若者が自分らしく健やかに生きていけるよう、働きやすく、働きがいを感じられる社会を目指したい。
1日は各地で入社式、入庁式が行われた。各トップは「失敗を恐れずに」「前向きにチャレンジを」「先入観にとらわれないで」などと期待の言葉を述べた。
新入社員は「高品質な商品を作りたい」「日本の魅力を発信したい」などと抱負を語った。
今年入社した若者は多感な時期に新型コロナウイルス禍を体験し、リモート授業など多くの困難を乗り越えてきた。生まれたときからインターネット環境があり、スマートフォンを自在に使いこなす世代でもある。
上の世代にはない感性、デジタル社会への対応力を思う存分発揮し、それぞれの職場を活性化させてもらいたい。
受け入れる側には、今の時代に合わせた「アップデート」が求められる。過剰な長時間労働をなくす働き方改革は必須だ。
過労を引き金に心身を病んだり、自ら命を絶ったりする痛ましい事態が繰り返されることがないように、ゆとりのある職場に変えていかなくてはならない。
ワークライフバランスを実現できる職場づくりに努めたい。
新社会人に働きがいを感じてもらうことも重要だろう。何ごともやりがいを感じることができなければ、継続するのは困難だ。
仕事のやり方はもちろん、その目的や意義などを丁寧に伝える必要がある。コミュニケーションをよくすることが基本となる。
国内の企業業績はおおむね堅調で、東京株式市場の日経平均株価は2月に約34年ぶりの史上最高値を付ける好調ぶりだ。
一方で、同時に進む物価高で市民生活は苦しい。物やサービスの値上げは続いており、この4月もハムやウイスキーの価格、宅配便の料金などが上がる。
物価の上昇に見合う賃金の上昇が必要であり、その好循環が生まれたときに初めて日本経済の回復が確かなものになる。
大都市と地方の賃金格差の拡大は、地方の人口減少を進めかねない。地域活性化のため、県内の経営者にも賃上げに前向きに取り組んでもらいたい。利益を従業員に還元する、若者の働きに賃金で応える姿勢を重視してほしい。
働き方改革を巡っては、1日から時間外労働の上限規制が自動車運転業や建設業、医師などにも導入された。
労働環境の改善が期待されるが、一方で人手不足の深刻化により各種サービスが低下する「2024年問題」が懸念されている。
市民生活や地域経済への影響を最小限にとどめるよう、国や地方自治体にはきめ細かい目配りと柔軟な対策を求めたい。