県都の玄関口が大きく変わった。JR新潟駅で分断されていた南北の市街地が一体化し、新たな人の流れが生まれる可能性がある。駅のリニューアルを地域活性化への起爆剤としたい。

 高架化された新潟駅の直下に新バスターミナルが開業した。構想から30年以上たってようやく実現した立体交差で、2022年に在来線全線のホームが高架化されたのに続く大改修だ。

 駅の南北を挟んで延びるバス路線がつながった。スポーツ施設や住宅地などが広がる南側と、北側の万代・古町地区など市中心部との一体化が視野に入る。

 鉄道とバスの乗り換えがスムーズになり、市民生活や観光の利便性が増すとの期待もある。

 新バスターミナルの開業式典で新潟市の中原八一市長は「人を引きつける魅力が高まった。駅を起点に交流人口拡大と活性化につなげたい」と述べた。

 約60年ぶりの新潟駅のリニューアルを、まちづくりや観光振興、企業誘致など多方面で生かす施策を進めてほしい。

 一連の新潟駅周辺整備事業は06年に始まり、新潟市が事業主体として進めてきた。必ずしも順調だったわけではない。

 駅の立体交差事業は南北の交通を円滑にするのが大きな目的だが、駅の下を通る車両は最初からバスのみとした。一般車両は周辺に整備する4本の幹線道路を迂回(うかい)させる計画だったが、整備が完了したのは1本だけだ。

 事業費が膨らみ工期も遅れ、なお残る駅前広場の開業は25年度の見通しだ。

 市は新潟交通と連携し、南北を結ぶBRT(バス高速輸送システム)を導入する構想を描いたが、専用道路を欠くなどBRTそのものが挫折し、名称も廃止された。

 バス利用者の減少に加え、最近は運転手の不足も深刻化している。新潟交通は市から経営支援を受けたものの、減便を重ね、運賃の値上げにも踏み切った。市全体のバス交通ネットワークの維持は大きな課題となっている。

 とはいえ、ようやく完成が見えてきた新潟駅の整備事業だ。

 新バスターミナル開業と同時期にオープンした駅の中の商業施設は連日、地域住民や観光客らでにぎわっている。周辺ではビルの建て替えも相次いでいる。

 新しい新潟駅を有効活用し、駅周辺にとどまらず市や県全体の活力や魅力の向上につなげたい。