生存率が大幅に下がるという地震の発生から72時間になる。いまなお連絡の取れない人がいる。台湾政府には、救出に全力を挙げてもらいたい。

 日本は過去の災害時には台湾から支援を受けてきた。台湾で苦しんでいる被災者に十分な援助を行い、助け合いたい。

 台湾で3日朝、東部沖を震源とする大きな地震が発生し、最大震度6強を観測した。日本の気象庁は、地震規模をマグニチュード(M)7・7と推定した。

 台湾当局によると、5日までに10人以上が死亡し、約1100人が負傷した。

 最も揺れが大きかった花蓮では複数の建物が倒壊した。マンションの低層階がつぶれて傾き、住民らが閉じ込められ、死者も出た。

 山間部では落石や土砂崩れがあった。交通が寸断され、600人以上が孤立している。その大半は、花蓮の観光地、太魯閣(タロコ)国立公園のホテルなどで、多くの外国人観光客も含まれる。

 現地では余震が相次ぎ、山間部の救出作業は難航しているという。安全に気を配り作業し、全員救出されることを願う。

 今回の地震は、1999年に2400人以上が亡くなった台湾中部で起きた地震以来の大規模なものという。規模や沿岸近くでの発生といった点で能登半島地震に似ているとする指摘が出ている。

 台湾の被災地と、能登半島地震の被災地で新たな知見を共有し、未来の備えへの協力を進めたい。

 沖縄県与那国島などで最大30センチの津波を観測した。津波警報が出て、能登半島地震の津波が頭をよぎり、避難を急いだ住民もいた。犠牲者が出なかったのは、過去の教訓が生かされた面もあろう。

 専門家によると、台湾周辺の地下は二つのプレートがねじれるように沈み込む複雑な構造をしている。付近の海域では過去100年間にM7級の大地震が10回以上起きている。警戒を続けたい。

 日本政府は5日、100万ドル(約1億5100万円)規模の緊急無償支援を行うと発表した。電気や水道などインフラの被害も大きい。復旧などに生かしてほしい。

 今後も日本政府は、現地のニーズに応じた支援に努めるべきだ。

 台湾は2011年の東日本大震災の際に国・地域別で最大規模の義援金200億円超を日本に贈った。元日に起きた能登半島地震では台湾政府が民間から募った寄付金が早々に25億円以上集まった。

 本県も04年の中越地震などの際に台湾から支援を受けている。新潟空港とは空路で結ばれ、親しみを持つ県民も多い。

 5日、台湾出身選手がいるオイシックス新潟アルビレックスBCのメンバーらが、台湾の被災者支援の募金を呼びかけた。

 本県でも助け合いの輪を広げ、台湾との絆を一層深めたい。