開幕1年前になっても関心が高まっているとは言い難い。諸課題を解消して前向きな情報を発信し、開催機運を盛り上げていけるかが試されている。
2025年大阪・関西万博は、13日で開幕まで1年となった。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、多くの国々や企業、自治体などが出展する100以上のパビリオンが建つ予定だ。
会場となる人工島・夢洲(ゆめしま)では、巨大屋根「リング」が組み上がってきたものの、海外パビリオンの予定地は更地が目立つ。
会場整備費はこれまでに2度、上振れし、2350億円と当初の1・9倍になることが判明した。さらに海外パビリオンの建設遅れや、運営費の増加が明らかになるなど暗い話題が続いてきた。
物価高による資材高騰や人件費の上昇、人手不足などが背景にあるとはいえ、相次ぐ問題の浮上によって、万博への期待感が高まっていない側面は否めない。
大阪府と大阪市のアンケートでは、万博に行きたいと答えた人の割合が下がり続け、昨年12月には33・8%に落ち込んだ。
整備費350億円の巨大屋根「リング」、2億円の「トイレ」などの施設は「無駄」「高い」と批判された。能登半島地震の発生を受けて、万博の開催中止や延期を訴える意見も出ていた。
公金を投じる以上、国民の理解を得ねばならないのは当然だ。
一方で、肝心のパビリオンの展示内容については、あまり話題になっていないことが気がかりだ。
1970年の大阪万博は「月の石」、2005年愛知万博は「冷凍マンモス」が目玉となった。
今回の万博では、スズキなどが準備中の「空飛ぶクルマ」も呼び物の一つにはなり得るだろうが、パビリオンの中身などの詳しい情報が不足している。
共同通信社が、参加・出展する民間企業などに行ったアンケートでは、約6割が「展示内容に関する広報体制の強化」を望んだ。
政府や、大阪府・大阪市、日本国際博覧会協会(万博協会)には、情報を公開し、丁寧に説明する姿勢が求められる。
子どもらの想像力をかき立てるような展示を、しっかりと用意してもらいたい。
万博では、本県も「県の石」のヒスイや錦鯉の展示、食をテーマにした催しなどを計画している。
国内外へ「ニイガタ」をアピールできるよう知恵を絞りたい。