後藤慧医師

 今回は「慢性腎臓病」についての診方(診察の視点)です。

 慢性腎臓病は、放置すると腎臓の働きが低下していく腎臓病の総称です。具体的には、(1)尿検査で分かるたんぱく尿や血尿などの異常、画像・病理検査で腎臓の障害がある状態(2)腎機能の低下の度合いを示す「糸球体ろ過量(GFR)」が正常値の60%未満-のうちどちらか一方または両方が3カ月以上続く場合と定義されます。

 現在全国で約1480万人、20歳以上の約7人に1人が慢性腎臓病であると推計されています。加齢によってGFRは低下するため、社会の高齢化でさらに増加すると予測されており、新たな国民病とも呼ばれています。

 腎機能が高度に低下すると、透析治...

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