今回はステキなご近所さんのお話。

 新潟に引っ越してきた5年前。初めての新潟、愛媛の実家以来の一軒家ライフで、緊張感マックスの新生活でした。しかし、それは取り越し苦労で、素晴らしい環境だったのです。

 私が住んでいたエリアは、子育て世代や共働きのご夫婦が多く、お忙しい方が多い印象。普段、あいさつは交わしますが、立ち話をするのはほんのひと握りの方だけです。そんな中、ご近所さんの温かさを感じる瞬間が。

 それは、新潟に来て迎えた2回目の冬。新潟市でも大雪が降った年でした。わが家は大した装備もせず、近くのスーパーで買ったスコップでひたすら雪かきをしていました。"雪かき初心者感"が漂っていたのか、ご近所さんたちが「大きいスコップ貸しましょうか?」とか「スノーダンプあるから使う?」と声をかけてくださいました。それまで、あいさつ以外交わしたことがない方からも、そっと声をかけていただき、心にポッと温かい火がともったことを覚えています。

 さらには、今までバスケの試合を見に来たことがなかったご夫婦も、新潟アルビレックスBBの会場に足を運んでくださるように。それだけではなく、私が妊娠中、出産予定日が近づいてきたときは、「五十嵐くんがいないときに何かあったらいつでも電話して」と激励の言葉とともにお電話番号もいただきました。

 そして、こんなご近所さんも。そのご家族とも、いつもあいさつ程度の会話でしたが、アルビBBの試合の日は、わが家から見える窓に、オレンジの7番のユニホームを掲げて、無言のエールを送り続けてくださっていました。

 初めてそのことに気付いた時、主人も私も目頭が熱くなりました。ホームの日も、アウェーの日も、いつもいつも静かなる熱いエールが。

 そのご家族に何かお礼をした方がいいのかなと思いながら過ごしていましたが、あえて声をかけずに見守ってくださっているそのお心遣いを無駄にしてはいけないと、こちらも言葉には出さずにいました。

 あえて声をかけず、私たちの生活を守ってくださっているご近所さん。静かに、そっと、熱く応援する...これが新潟人魂なのだと感じました。

 そして主人の新潟退団の報道が出た翌日も、7番のユニホームが。もう胸が一杯になり、言葉が出てきませんでした。

 ステキすぎるご近所さんたち。本当にありがとうございました。新潟の方々って、なぜこんなにピュアで温かいのだろう。新潟に住むことができたご縁に感謝。

アルビBBの試合を観戦する息子。新潟を離れることになりましたが、息子の中には新潟人魂が刻まれているはず

 私は主人の移籍に伴い、群馬県に引っ越すことになりました。このコラムもまだ始まったばかりだったのですが、アスリートの妻である以上、こればかりは仕方がありません。新潟県民として過ごした5年間は宝物です。

 その思いを今回で書き切れるわけもなく。なので、あと2回、コラムをつづらせてください。あれも書きたい、これも書きたい...2回で終わるかな笑

 次回も心を込めて書かせていただきます。
(フリーアナウンサー)

<ほんだ・ともこ>
1983年生まれ。愛媛県出身。立教大を卒業後、2006年にフジテレビに入社し、「すぽると!」などを担当。13年に、上越市出身でプロバスケットボール選手の五十嵐圭選手と結婚し、退社。現在、フリーアナウンサー。
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