いつでも開いていて、便利なだけではない。地域に安心感を与える存在に成長した。

 危険を感じた子どもが駆け込む場所であり、高齢者の暮らしを支える場でもある。生活に欠かせないインフラとして、店舗が地域にあり続けることが望ましい。

 本格的なコンビニチェーン店が日本に誕生して50年がたった。各社のフランチャイズ1号店が相次いだのは、高度経済成長期を経た1970年代中盤だった。

 大手では、セブン-イレブンが74年5月に東京都内で開店したのが最初だ。ローソンと、ファミリーマートがこれに続いた。

 日本フランチャイズチェーン協会によると、2022年度の店舗数は全国で約5万7千店に上る。

 おにぎりが並び、季節になればおでんも売られる。大きなスーパーまで行けない人にとっては暮らしの支えになっている。

 食品や日用品、大衆薬を売るだけでなく、時代に合わせてサービスを広げてきた。

 店内のATMで好きな時間に現金を引き出すことができ、公共料金を納めたり、行政の証明書を入手したりすることもできる。

 夜になれば店舗の明かりが地域の防犯に大きな役割を果たす。自治体と協定を結び、災害時には物資も提供する。

 社会的課題にも対応している。食品ロス削減への取り組みは一例で、消費期限が近づいたパンなどの値引き販売は定着してきた。

 コンビニ大手では、新たな設備を導入し、おにぎりの一部の消費期限を平均18時間から26時間に延長した。売れ残りの廃棄を減らすことができるという。

 プラスチックごみを削減するためのレジ袋有料化に続き、スプーン類の無料提供をやめるチェーン店も出てきた。植物由来の素材に変える動きもある。

 環境中に流出したプラスチックは分解されにくく海を汚染する。使用を減らす取り組みを業界全体で進めてもらいたい。

 最近は、外国人アルバイト従業員の姿が都市部を中心に目立ち、大手3社で8万人を超えるとみられている。多様なサービスを手際よくこなす姿に感心する。

 深刻化する人手不足を補うと同時に、外国人観光客に対応する戦力にもなるという。

 コンビニは現在、24時間営業が一般的だが、人手不足や夜間の需要減に対応して、時短営業に切り替える動きも一部にある。

 地域拠点として多くの店舗が維持されることが重要だ。無理のない経営であってほしい。