男女を合わせ日本勢初となる2度目のメジャー優勝だ。22歳という若い世代の世界での活躍は、私たちに元気と自信を与えてくれる。快挙をたたえ、さらなる躍進を願いたい。

 女子ゴルフの笹生(さそう)優花選手が、米ペンシルベニア州で開かれた女子最高峰の全米女子オープン選手権で優勝した。

 19歳だった2021年にも同大会を制している。初優勝から3年間は勝利から遠ざかっていただけに、努力が実を結んだ結果に大きな拍手を送り、祝福したい。

 今大会では持ち味である圧倒的な飛距離と正確なショットを見せた。3打差の5位からスタートした最終日は68で回り、通算4アンダーとして上位陣を逆転した。

 6番でダブルボギーをたたいたが、大会後は「優勝した21年にもあったことなので、これはラッキーだと捉えることにした」と語った。技術だけでなく精神面の強さもうかがわせた。

 笹生選手は日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれた。父の影響で8歳でゴルフを始め、フィリピンを拠点に腕を磨いた。

 21年の東京五輪はフィリピン代表で出場し9位だった。今夏のパリ五輪は日本代表を目指す。今回の優勝で世界ランキングが30位から日本勢最上位の6位に浮上し、代表権獲得に近づいた。

 国内ではスポーツや芸能など各界で、出身国の違う両親を持つ若い人材の活躍が目立つ。笹生選手の快挙は、多様性がもたらす新しい日本社会の力を表しているようでもある。

 全米女子では笹生選手のほかにも渋野日向子選手が2位、古江彩佳選手が6位、小祝さくら選手と竹田麗央選手が9位となるなど、日本勢が躍進した。

 背景にあるのは、国内の女子プロの活況だ。宮里藍さんが世界で活躍した姿を見て育ち、今は20代半ばになった「黄金世代」や「プラチナ世代」から多くの有力選手が現れ、しのぎを削っている。

 全米と同時期に長岡市で開かれたヨネックス・レディースも盛り上がり、黄金世代である新垣比菜選手の復活優勝が話題になった。県勢も高橋彩華選手が2位、石井理緒選手が11位などと健闘した。

 現在の隆盛に日本女子プロゴルフ協会が果たした役割は大きいが、裾野拡大に努めた全国各地のゴルフ場やゴルフ関係者の貢献も忘れてはならない。女子だけでなく、男子の奮起も期待したい。