ブルックリンクラの外観=米ニューヨーク
ブルックリンクラの内観。奥はタップルーム=米ニューヨーク

 人手不足が深刻化し、各地で人の獲得競争が過熱している。企業の財産となる人を集め、成長のエンジンに-。「人財」を巡る新潟県経済のルネサンス(再興)の胎動を追う。(8回続きの4)

 米ニューヨーク(NY)ブルックリン地区。古い工場や倉庫をリノベーションしたおしゃれな商業施設に「CRAFT SAKE(クラフトサケ)」を掲げる一角がある。NY初の酒蔵「ブルックリンクラ(BK)」だ。

 元金融マンのブライアン・ポーレン氏と生化学者のブランドン・ドゥーアン氏が2018年にオープンした。2人は熱心な日本酒ファンで、酒造りをほぼ独学して蔵を興した。

 設備の拡張工事を行い、5月下旬に新施設で初めて本格的に仕込んだ酒を搾る日を迎えた。製造責任者を務めるブランドン氏は品質の良さに安堵(あんど)したのか、目に涙を浮かべていたという。

製造責任者のブランドンさん(左)とブライアンさん(古い製造施設で)=2018年5月、米ニューヨーク

 設備投資や技術を支援したのは、21年にBKと資本業務提携を結んだ八海醸造(新潟県南魚沼市)だ。日本酒の国内販売量が...

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